コラム

保存の知恵

2018/7/30 考える知識

 前回、ロールベールサイレージについてお話ししましたね。あれは家畜の飼料を長期保存するための工夫でしたが、どうして発酵させると飼料が腐らないのでしょう?

 そもそも食べ物が「腐る」というのは、動物にとって毒になる菌が繁殖すること。一方「発酵」というのは、動物にとって良い菌が繁殖すること。サイレージの場合、自然に存在する良い菌を繁殖させることによって、悪い菌が繁殖する隙を与えないというわけです。人間の食べ物でも、ヨーグルトや納豆などの発酵食品は、同じ仕組みで長持ちします。

 また、別の方法で悪い菌が繁殖しないように工夫した食品もあります。例えばコンビーフや新巻鮭のような「塩漬け」は、塩で水分を抜くことによって悪い菌が生きていけないようになっているし、寿司や〆鯖などは、お酢の抗菌作用によって悪い菌を寄せ付けにくくなっています。

 こうした調理方法は、食べ物をより美味しくより安全に長期保存するための先人の知恵なのですね。

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