コラム

バイオミメティクス

2020/7/6 考える知識

 皆さんは「バイオミメティクス」という言葉を聞いたことがありますか? 日本語訳するなら「生物模倣」、つまり、生物のからだのつくりや機能・行動などを真似して活用しようという技術のことです。

 身近なものでいえば、ハスの葉の構造を真似ることにより高い撥水性を実現したヨーグルトの蓋や、ゴボウの実(見たことありますか? オナモミの実のようにチクチクしていて、動物の毛皮や人間の衣類にくっつきます)からヒントを得た面ファスナー(マジックテープなど)、蚊の吸血針を真似た刺しても痛くない注射針などがバイオミメティクスにあたります。

 バイオミメティクスという言葉が初めて提唱されたのは1950年代のことですが、当時の模倣はまだ外見的なものにしかすぎませんでした。しかし近年は科学の進歩により、肉眼では見えないほど小さな構造や、超音波や赤外線など目に見えない機能などにまで研究範囲が広がっています。

 様々に進化し地球での厳しい生存競争に何十万年・何百万年勝ち抜いてきた生物たちの持つ機能は、伊達ではありません。それらの機能を模倣するバイオミメティクスは、無限の可能性を秘めた技術だといえるでしょう。

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